「とちコシなひとたち」第1回は、「とちコシ」のキャラクター「カエルくん」の生みの親、いわむらかずおさんです。いわむらさんには『かんがえるカエルくん』についてお聞きしました。

Q:『かんがえるカエルくん』はどのようにしてうまれたのですか?
 福音館書店の『おおきなポケット』という雑誌がはじまるときに、「コミック」か幼年童話を描いてもらえないかという編集者の依頼がありました。絵本ではなくコミックというのがおもしろく思ったんです。コマわりという表現では別の雑誌で何ページかやったことがあったのと、アイデアスケッチのストックが少しあったので、「コミック」といわれたときにちょっとひらめいたものがありました。『かんがえるカエルくん』のもとになるものが、そのアイデアスケッチの中にあったんです。それがまず連載をはじめてみようと思ったきっかけでした。

 もうひとつはじめる理由となったのは内容的なことです。私が作品を通して考えてきたことは、子供の本と「自然」との結びつきです。「生きること」とか「命」とか、そういうことの基本的なしくみについて、子供たちと語ったり、子供たちと一緒になにか発見したりすることが、子供の本を創っていく中で非常に大事な部分だということ強く感じていました。そのようなことを4コマというスタイルで表現することがとてもおもしろいと思ったんです。子供の素朴な疑問を子供と一緒に考えるというテンポとしては、4コマがとてもいいテンポなんです。それは4コマで答えを出すというのではなくて、「どうかな・・」「そうなのかな・・」「ちがうかな・・」と、とても単純なことを、ゆっくりゆっくり考えていくのが子供のリズムと合ってとてもいいんです。しかも子供が普段思うような単純素朴な疑問というのが、「生きること」とか「命」とか、とても基本的なことと直結していることがとても多い。このかんがえるカエルくんが考えていることは、子供たちが日常の中で大人に投げかけてくる非常に素朴な疑問です。その疑問を大人の自分が知ってると思わないで、自分も知らないという立場で子供と一緒に考えていく。そうすることでいろんな発見が生まれてくんです。

Q:なぜ主人公をカエルにしたんですか?
 主人公をカエルにしたのは、4コマで子供の素朴な疑問を「考える」のは、あのカエルのおっとりとした感じ以外は考えられなかったですね。どうもカエルの顔を見ていると考えているように思えるんです。あとは語呂合わせ。「かんがえる」から「かえる」になったのかなぁ・・・なんて。ネズミくんという相手役の設定も、カエルくんのようにゆっくりゆっくり考えるには、その横に相づちを打ってくれる相棒がとても重要なんです。

 ネズミくんはカエルくんようによく考えるわけではないんだけど、「なに考えてるの?」と聞いてくれることで考えが発展したり、ちょっと突拍子もないこと、飛躍した考えを言ってくれることで、カエルくんの考えが飛躍したり、袋小路に入ってしまったところを抜け出すことができたりするんです。そのようにカエルくんの思考を刺激したり発展させたりするために、ネズミくんの相づちはとても大切なんですよ。

Q:一つ一つの作品はどのように創るのですか?
 『かんがえるカエルくん』を作品にしていく過程としては、子供たちが疑問に思う自然の中のとても基本的なテーマ、たとえば「雨」とか「夜」とかを設定して、まず言葉やセリフで構成を考えてみることがとても多いですね。4コマのそれぞれにテーマを展開する言葉とか会話を入れて、それから絵をラフに描いてみます。絵を描くときでも、テンポとか動きとかを考えて、それにあわせてさらにセリフなどを考えていきます。脚本を書いてそれから絵作りをしていく中でいろいろと構成を考えるという方法はアニメーションを創っていく感覚に近いような気がしますね。

Q:『かんがえるカエルくん』は海外でも出版されているのですか?

 いま『かんがえるカエルくん』はフランスと韓国で出版されているんですが、フランスではかなり人気があるようです。フランス語版の出版の時は、表紙のデザインを勝手に変えられてしまったり、セリフの翻訳のことなどいろいろと大変な部分がありました。でもとてもチャーミングな作品になったと思っています。
フランス語版『かんがえるカエルくん』→

『かんがえるカエルくん』シリーズの3作目『もっとかんがえるカエルくん』が2002年10月に福音館書店から出版されました。「よるってどこからくるの?」「ゆめってだれがつくるの?」第3集『かんがえるカエルくん』ではカエルくんがますます考えます。