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「とちコシなひとたち」第9回は、いわむらかずおさんの美術館のあるえほんの丘フィールドのえほんの丘農場の佐藤幸男さんにお話を聞いてみました。
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Q:まずはいわむらかずおさんとの出会いのお話をお聞かせください。
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佐藤さん:
今から10年くらい前になると思います。いわむらさんが美術館の候補地を探していらしたときでした。今の場所には、農場もあるし、家畜もいて、自然環境も含めていわむらさんのイメージ通りの場所だということで、「ぜひ佐藤さんに会いたい」と言っていただき、町の職員の方に紹介してもらったのが最初の出会いです。
たいへん失礼なんですが、私はいわむらさんをぜんぜん知らなかったんです。高校の先生をしている妹の旦那さんが知っていて、彼からいわむらさんのことを聞きました。偉い先生が来るんだなと初めはちょっと緊張しましたね。でもお会いして話してみると全く偉ぶらないでたいへん親しみやすい人でした。
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Q:今の美術館がある場所は以前どのようなところだったのですか?
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佐藤さん:
ずいぶん前は、あの場所ではおばさんの家で養蚕をやっていたんです。13年くらいやっていたんですが、中国からの輸入が増えて、値段が下がってしまったので、やめてしまいました。そのあとは杉の植林をして杉林になっていました。今えほんの丘フィールドになっている広い範囲で、いろいろなものを作っていましたね。当時このあたりは葉煙草栽培がさかんに行われていて、「だるま葉」というのが有名だったんです。うちでも栽培していたのですが、養蚕と葉煙草の栽培は合わないんです。蚕はとてもデリケートで葉煙草に酔ってしまって近くには植えられないんですよ。葉煙草を手入れしている時は、匂いがつくので服も替えて養蚕を手伝っていましたからね。
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Q:佐藤さんが参加されている農場イベントについてお聞かせください。
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佐藤さん:
農場イベントは美術館ができる前から始めていたんです。(注:1998年4月絵本の丘美術館開館)以前の私たちが住んでいた家が美術館スタッフ用の準備室にとして使わせてもらいたいというお話があって、みなさんに解放したんです。そこでなにかイベントをやろうということになって始めたのがきっかけだったと思います。
いわむらさんは「生きるためには、たべものが大切。たべものは農業」という考えをお持ちで、私も同じ考えを強く思っています。そのことをどのようにして子供たちに伝えていくかが農場イベントの課題でした。
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今ではさかんに「食育」ということが取り上げられていますが、大事なのは頭だけで考えるのではなく、実際に経験することだと思います。私たちが考えたのは「土に触れることから始めてみよう」といことでした。自分たちで種を植えて育て、自分の口に入るもののことを知るという経験ができるイベントにしようと思ったのです。
イベントではいろいろな作物を作ります。収穫のときのイベントでは、各自お弁当は持ってきてもらうのですが、その時々にできた旬の野菜をみんなで食べるんです。そしてできるだけ味付けをしないでそのまま生で食べてみる。
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料理する場合も、包丁が使える子供は自分で切ったりして料理する。「火」はガスや電気ではなく、木を燃やして使う。このように自分のからだで経験することを大切にしています。
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Q:農場イベントで印象的だったことお話しいただけますか?
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佐藤さん:
都会から来た3,4歳の子供だったと思うのですが、小鳥の土水浴びするように、土遊びを始めたんです。都会の人だったら、土に転がって遊んでいたら汚れるからと注意するのが普通かなと思っていたのですが、にこにこしながらその子の親は楽しそうにしている我が子を見ていたんです。あと子供たちが夢中になって作業している姿にも感心しますね。たとえば草取りなんて大人でもいやがるのに黙々とやってるんです。たんぼのイベントではみんな裸足でたんぼに入るのですが、最初は気持ち悪がっていた子供たちも、だんだんやっているうちに夢中になってやっているんですよ。
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そして、子供たちが嫌いな野菜を農場イベントで食べられるようになるのも印象的ですね。とりたての大根やトマトなど、まずみんなで生でかじってみるのですが、親が嫌いな野菜を食べている自分の子供の姿を見て驚いているんです。
私の話もとても熱心に聞いてくれる。そういう子供たちや親の姿を見ていると、私ももっと勉強していろいろ伝えたいと思います。毎回何を話すかいろいろ考えるのですが、種を蒔いて、土から芽が出てくるまで、土の中で種はどうなっているんだろうと思ったんです。自分でも見たことないし。いろいろインターネットでも調べてみてもなかなか見つからない。
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そこで、イベントでこのことをやってみようと思い、私は自分でともろこし、かぼちゃ、ピーナツの種の成長3日、5日、7日と想像して娘にパソコンで絵を描いてもらったんです。イベントの日にち合わせて、それぞれ時期をずらして蒔いて、イベントの日に子供たちと一緒にそれを掘り起こしてみようとしました。掘り起こす前に、自分で想像した種の成長過程の絵を紙芝居のように見せて、それからみんなで掘り起こして実際の種と比べてみたんです。そうしたらだいだい自分が想像したようになっていたんです。子供たちは驚いてました。私のように長年農業に携わっていても知らないことはたくさんあるし、みんなで新しい発見をすることはとても感動的です。
イベントのあとに参加者の方々にアンケートを書いてもらうんですが、楽しかった、おいしかったという意見を見ると本当にうれしい。そういう若いお母さんやお父さんそして子供たちの一枚のアンケート用紙に力や勇気をもらっていると実感してます。
長年のいわむらさんとお付き合いで、いわむらさんが常におっしゃっていること、「農業を通して学ぶことは、『あらゆるものは循環する』ということ。これからもそのことを子供たちに伝えていけたらと思います。
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興味深いお話しをいろいろしていただき、ありがとうございました。
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